静嘉堂の名刀〓伝えられたもののふの心〓
2008-06-14


静嘉堂文庫の「静嘉堂の名刀〓伝えられたもののふの心〓」を観に、二子玉川へ。目当ては、直江兼続所用「長船兼光」。兼続所持の刀剣は珍しい。昨年、米沢上杉博物館の「直江兼続展」におても刀剣の展示はなかった。
「長船兼光」は南北朝時代の三尺余りの太刀を磨り上げたもの。秀吉から拝領されたものらしく、兼続没後に妻おせんの方が上杉家へ献上したため、「後家兼光」と呼ばれている。明治期に上杉家が土佐山内家に贈る際、蒔絵の鞘を新調した。華美な鞘とは対照的に、刀自体はそっけない印象を持った。
興味深かったのは、斎藤利宗所用「海部泰吉脇指」。利宗は、本能寺の変の首謀者と目される斎藤利光の長男で、信長襲撃にも参加。この脇差は斎藤氏と土佐長宗我部氏の関係をうかがわせる阿波の刀工によるもの。

静嘉堂文庫といえば、「曜変天目茶碗」が念頭にあるので、同茶碗をあしらった絵はがきと一筆箋を購入。


〈主な展示作品〉
   山城了戒太刀(駿河大納言徳川忠長所用)鎌倉時代 13世紀
重美 相州行光太刀(家康より佐竹家重臣・渋江政光が拝領)鎌倉時代 14世紀
重文 伯耆安綱太刀(保科家伝来)平安時代 10世紀
重文 古備前高綱太刀(信長より滝川一益が拝領)鎌倉時代 12〓13世紀
   一文字守利太刀(姫路新田藩・本多平八郎忠為所用)鎌倉時代 13世紀
   長船兼光刀(直江兼続所用、上杉家伝来)南北朝時代 14世紀
   海部泰吉脇指(加藤清正家臣・斎藤利宗所用)室町時代・永正14年(1517)
重文 名物日置安吉短刀(岡山藩家老・日置豊前守忠俊所用)南北朝時代 14世紀
   三池光世太刀(島津家重臣・新納忠元所用)鎌倉時代 13〓14世紀
   堀川国広刀(下野喜連川家伝来)桃山時代 16〓17世紀
   出羽大掾国路刀(唐津小笠原家伝来)桃山時代 16〓17世紀
重美 山浦清麿刀(黒田清隆旧蔵)江戸時代・弘化4年(1847)
   初代肥前国忠吉刀(対馬府中藩宗家伝来)桃山時代 17世紀
奈良利寿作 亀乗寿老図鐔
[戯々録]

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